街の灯

大阪の泉南で育った私は、海にも山にも街にも恵まれました。15分歩けば海(大阪湾はお世辞にもキレイとは言えませんが、漁港は良いです。)、30分歩けば裏山の紀泉高原に行けます。3〜40分電車に乗れば、「難波(なんば)」に出ます。私はこの「なんば」がとても好きでした。一年に一度は、大阪を訪れ、戎橋筋商店街、心斎橋あたりをうろうろします。画材屋の老舗「丹青堂」が大好きで。道頓堀の節操のないネオンも、今ではいくらか上品になったように思います。宮本輝の「泥の川」の最初の文章は、昔の大阪の光景が書かれていますが、そんな凄まじい部分が多少残っていても、大阪は人の心を何より大事にする街でした。今は昔より何だかサッパリしてオシャレになった(なってしまった)気がしますが、大阪スピリットは健在だと思う。大阪弁は、関東の人には面白かったり、時々きつく聞こえるようですが、私にとっては何より「優しい言葉」なのです。